エレメント(Element)

火・地・風・水のこと。四元素とも呼ばれる。文脈によって、四気質(胆汁質・憂鬱質・多血質・粘液質)や四性質の組み合わせ(ホット&ドライ・コールド&ドライ・ホット&モイスト・コールド&モイスト)と言い換えられる。

エレメント四性質の組み合わせ四体液四気質
ホット&ドライ黄胆汁胆汁質
コールド&ドライ黒胆汁憂鬱質
ホット&モイスト血液多血質
コールド&モイスト粘液粘液質

歴史

初期の哲学者たちは、万物の根源(アルケー)をたった1つの物質に求めようとしていた。タレスは「生命の源であり、流動的である」との理由から水を、アナクシメネスは「希薄化と濃縮によってあらゆる物に変化する」との理由から空気を、ヘラクレイトスは「万物は流転しており、火こそがその象徴」との理由から火を、クセノファネスは「すべては土から生じ、土に還る」との理由から土を万物の根源(アルケー)と主張していた。

このような流れの中で、エンペドクレス(前492〜前432)が「世界は『火・空気・水・土』の元素の混合と分離で成り立つ」と四大元素説を提唱した。これがエレメント(四元素)の始まりであり、アリストテレス(前384〜前322)の「自然学」にも「エンペドクレスがエレメントを4つにした」と記載されている。

医学の父と称されるヒポクラテス(前460〜前370)は、エンペドクレスの四元素を人体と病気に応用し、四体液説(黄胆汁・黒胆汁・血液・粘液)を提唱した。健康は体液のバランスで決まるとし、観察と記録を重視した。自然哲学が医学へ応用されていき、四気質(胆汁質・憂鬱質・多血質・粘液質)の基礎となった。なお、各体液には象徴される性質があり、四気質を利用するシュタイナー教育にも活用された。

体液象徴される性質気質や性格
黄胆汁激しさ、勢い意志の強さ、怒り、行動力
黒胆汁重さ、沈静、深さ思索、慎重、憂鬱
血液明るさ、動き、生命力陽気、社交性、楽天性
粘液安定、柔軟落ち着き、粘り強さ、穏やかさ
気質性質の特徴教育的対応
胆汁質活動的、意思が強い、怒りっぽい目的や達成感を与え、集中へ導く
憂鬱質内省的、感受性が強い、慎重安心感・共感・小さな成功体験を重ねる
多血質明るい、社交的、好奇心旺盛変化やリズムのある活動で興味を維持
粘液質落ち着き、ゆっくり、安定的穏やかな環境でペースを尊重する

プラトン(前427〜前347)は、エンペドクレスの四元素を受け継ぎつつ、数学的・幾何学的宇宙論に結びつけた。この世の調和は数学的な美しさに基づいていると考え、4つの元素に最も美しい幾何学的形状である正多面体を割り当てた。5つ目の正多面体である正十二面体は、宇宙全体(第五元素/エーテル)を象徴するものとされた。プラトンは創造神話「ティマイオス」で、宇宙がエレメントで創造されていく作品を描いている。

エレメント正多面体の形理由
正四面体最も小さく、鋭く、動きやすいため。
正六面体最も安定しており、動かしがたいため。
正八面体火と水の中間で、滑らかに動くため。
正二十面体最も球体に近く、流動性が高いため。

アリストテレス(前384〜前322)は、エンペドクレスの四元素(火・地・風・水)に論理的な裏付けとして四性質(ホット・コールド・ドライ・モイスト)を導入した。四性質は、万物の最小単位であるエレメント(元素)をさらに構成する根源的な要素であるため「元(Primary Qualities)」と呼ばれる。火はホットとドライ、地はコールドとドライ、風はホットとモイスト、水はコールドとモイストの組み合わせで構成される。

四性質(元)

古代ギリシャ哲学において、ホットは人や物事を動かす能動的なエネルギーそのものを象徴する。体が温まると活動的になるように、ホットは上昇し動きを生み出す力である。また、ホットな状態は物事を乾燥させるため、ドライ(乾燥・分離)が生じる。コールドはエネルギー源であるホットが尽きた状態、つまり静的で下降する力を表す。また、コールドな状態では夜間に石の上に露がつくように湿気が生じるため、モイスト(湿潤・結合)が生じる。

ホット(Hot/熱)

物事を動かす根源的なエネルギー。活動的で上昇する。行動的な性質。

コールド(Cold/冷)

熱が尽きて冷え切った状態。受動的で下降する。非活動的で静的な性質。

ドライ(Dry/乾)

乾燥させることで水分を奪い、物事を引き離す。分離や収縮する性質。

モイスト(Moist/湿)

湿度を与えることで物事を結びつけたり、膨張させる。結合や膨張させる性質。

火(ホット&ドライ・胆汁質)

ホット(行動的)ドライ(分離)= 自立的な行動

ホットの行動性に、ドライがもたらす分離性(他を気にせず、物事を切り離す性質)が加わる。これは、他者の意見や周囲の状況に左右されることなく、自分が正しいと信じる道を突き進む、強い決断力と自立心を持った性質を意味する。こうした自己の意志を貫く力は、日常の選択から人生の大きな決断に至るまで、あらゆる場面で原動力となる。

火と対応するサイン

牡羊のサイン(ホット&ドライ・胆汁質)
獅子のサイン(ホット&ドライ・胆汁質)
射手のサイン(ホット&ドライ・胆汁質)

火と対応する季節

夏(ホット&ドライ)

夏のサイン

蟹のサイン(コールド&モイスト・粘液質)
獅子のサイン(ホット&ドライ・胆汁質)
乙女のサイン(コールド&ドライ・憂鬱質)

獅子のサインは、ホット&ドライな季節の中にある、ホット&ドライなサインである。

火のトリプリシティー

昼の支配星:太陽
夜の支配星:木星
関与星:土星

関与星
太陽木星土星
金星火星
土星水星木星
金星火星
ドロセウスのトリプリシティー

地(コールド&ドライ・憂鬱質)

コールド(非行動的)ドライ(分離)= 内省的な思索

コールドの静的なエネルギーとドライの分離性が組み合わさることで、外部との関わりを一時的に遮断し深く内省する性質が生まれる。この気質は深く物事を考えたり自分自身の内面と向き合ったりするために不可欠なエネルギーであり、日本で「読書の秋」という習慣が根付いているのも、この内省的な気質が秋の季節と共鳴するからだと思われる。

地と対応するサイン

牡牛のサイン(コールド&ドライ・憂鬱質)
乙女のサイン(コールド&ドライ・憂鬱質)
山羊のサイン(コールド&ドライ・憂鬱質)

地と対応する季節

秋(コールド&ドライ)

秋のサイン

天秤のサイン(ホット&モイスト・多血質)
蠍のサイン(コールド&モイスト・粘液質)
射手のサイン(ホット&ドライ・胆汁質)

コールド&ドライな季節である秋には、コールド&ドライなサインがない。

地のトリプリシティー

昼の支配星:金星
夜の支配星:月
関与星:火星

関与星
太陽木星土星
金星火星
土星水星木星
金星火星
ドロセウスのトリプリシティー

風(ホット&モイスト・多血質)

ホット(行動的)モイスト(結合)= 積極的な連結

ホットがもたらす能動的なエネルギーと、モイストがもたらす結合性が組み合わさった性質。人と人、あるいは異なる考え方や情報を積極的に結びつけようとする、社交的でコミュニケーション能力の高い性質として現れる。春の季節が象徴するように、新しい関係性やアイデアを生み出す力に満ちている。

風と対応するサイン

双子のサイン(ホット&モイスト・多血質)
天秤のサイン(ホット&モイスト・多血質)
水瓶のサイン(ホット&モイスト・多血質)

風と対応する季節

春(ホット&モイスト)

春のサイン

牡羊のサイン(ホット&ドライ・胆汁質)
牡牛のサイン(コールド&ドライ・憂鬱質)
双子のサイン(ホット&モイスト・多血質)

双子のサインは、ホット&モイストな季節の中にある、ホット&モイストなサインである。

風のトリプリシティー

昼の支配星:土星
夜の支配星:水星
関与星:木星

関与星
太陽木星土星
金星火星
土星水星木星
金星火星
ドロセウスのトリプリシティー

水(コールド&モイスト・粘液質)

コールド(非行動的)モイスト(結合)= 受動的な結合

コールドの非行動性と、モイストの結合性が結びついた性質。積極的に外の世界へ働きかけるのではなく、家族や親しい友人など、ごく身近な存在と深く結びつこうとする傾向として現れる。また、水のエレメントは個々の境界線を曖昧にする作用もある。西洋占星術で想定される水は、水道から出るような制御されたものではなく、すべてを飲み込み境界を無くしてしまう洪水のような水を象徴している。

水と対応するサイン

蟹のサイン(コールド&モイスト・粘液質)
蠍のサイン(コールド&モイスト・粘液質)
魚のサイン(コールド&モイスト・粘液質)

水と対応する季節

冬(コールド&モイスト)

冬のサイン

山羊のサイン(コールド&ドライ・憂鬱質)
水瓶のサイン(ホット&モイスト・多血質)
魚のサイン(コールド&モイスト・粘液質)

魚のサインは、コールド&モイストな季節の中にある、コールド&モイストなサインである。

水のトリプリシティー

昼の支配星:金星
夜の支配星:火星
関与星:月

関与星
太陽木星土星
金星火星
土星水星木星
金星火星
ドロセウスのトリプリシティー