チャートにおいて、惑星や恒星が東の地平線から上昇してくるポイントのこと。
アセンダントは「アワー・マーカー(時間を刻みつける場所)」とも呼ばれ、特定の「時」と「場所」を決定づける固有のポイントでもある。紀元前150年頃にアセンダントを計算する方法が発見されたことで、現代のようなチャートを描くことが可能となった。一般的なチャートでは向かって左側の地平線部分に位置し、1ハウスの始まり(カスプ)として扱われる。古くは1ハウスそのものを「ホロスコープ・ホロスコポス(太陽の昇る所、時の観察者)」と呼んでいた。アセンダントおよび1ハウスは、カレント自身や、その人の肉体、人格、外見、健康状態、立ち居振る舞いを表す最も重要な場所である。古典占星術は「アセンダント占星術」と呼ばれるほど、アセンダントを重視している。
5度ルールと1ハウスの定義
レジオモンタナスやプラシーダスなどの四分円方式では、ハウスはカスプ(ドア)から突然始まるのではなく、その手前に「約5度」のエントランスがあると考える。計算上は前のハウスに属していても、実質的には次のハウスの力が及ぶ領域(エントランス)にいるとみなす。また、ハウスの終わりは一般的に次のハウスの5度手前までとなる。つまり、一般的な1ハウスの概念は「アセンダントの5度手前から、2ハウスのカスプの5度手前まで」と言える。

「アセンダントの5度手前から
2ハウスのカスプの5度手前まで」
ただし、この「5度」は目安である。以下の事例のように、7度手前にサインの切り替わる境界線があるような場合は、5度を超えて7度手前から1ハウスが始まると考える。

以下のようにアセンダントから5度戻れないケースも出てくる。アセンダントは「天秤のサインの3度」にあるが、サインを飛び越えて「乙女のサインの28度」となることはない。なぜなら、四分円方式の背景にはホールサイン・ハウス方式があり、ホールサイン・ハウス方式では「ハウスの領域はそのサイン内から始まる」という原則があるからである。アセンダントが天秤のサインにあるなら、1ハウスの始まりも必ず天秤のサインとなる。

以上の通り、ハウスの「始まり」には厳格なルールがあるものの、ハウスの「終わり」は曖昧なところがある。例えば、以下の事例の場合、アセンダントは天秤のサインの24度であるため残りは6度しかない。このような場合、1ハウスは天秤のサインを超えて蠍のサインまで広がる。そして、1ハウスの終わりは2ハウスのカスプの5度手前(蠍のサインの15度)となる。

以下の事例も、1ハウスの終わりがアセンダントの位置するサインを超える。アセンダントは魚のサインの24度なので、残りは6度しかないが、1ハウスは魚のサインを超えて牡牛のサインの0度まで及ぶ。1ハウスの終わりは「2ハウスのカスプの5度手前」となるのが一般的だが、以下の事例では「8度手前」と考える。なぜなら、牡羊のサインと牡牛のサインの境界線があるからである。
視点を変えて、2ハウスがどこから始まるのかを考えると分かりやすい。2ハウスのカスプは牡牛のサインの8度にあるが、ハウスには約5度のエントランスがある。そして、この5度はあくまでも目安であり、あと3度足せば牡羊のサインと牡牛のサインの境界線となるため、キリよく「8度手前」を1ハウスと2ハウスの境界線と考える。つまり「ハウスの終わりは、次のハウスの始まりによって規定される」とも言える。

かつ2ハウスのカスプの8度手前で終わる事例
ホールサイン・ハウス方式における1ハウス
ホールサイン・ハウス方式では、アセンダントが位置するサイン全体が1ハウスとなる。アセンダントが位置するサインの度数が1度でも29度でも関係なく、そのサイン全体が1ハウスとなる。以下の事例の場合、アセンダントは天秤のサインの25度にあるが、1ハウスは天秤のサインの0度から始まることになる。

同じ時間で、レジオモンタナスでチャートを作成すると以下のようになる。アセンダントは同じく天秤のサインの25度にあるが、1ハウスの領域はホールサイン・ハウス方式と大きく異なる。アセンダントの5度手前である天秤のサインの20度から、2ハウスのカスプの5度手前である蠍のサインの16度が、レジオモンタナスにおける1ハウスの領域となる。

2つのチャートを並べてみると、以下のようになる。

以上のように、ハウス方式によっても1ハウスの領域は変わるので、一概に「1ハウスはここからここまで」と規定することは困難である。全ての概念を把握した上で、観察する対象に応じて使い分けるしかない。また、話者や筆者によって、または文脈によって「1ハウス」の定義が変わる点にも注意が必要である。1ハウスのカスプ(アセンダント)のことを1ハウスと呼ぶ人もいれば、1ハウス全体を1ハウスと呼ぶ人もいる。1ハウスとアセンダントを明確に区別しながら説明する人もいる。
アセンダントと惑星の強さ
アセンダントの10度下にある惑星、言い換えるならアセンダントに1時間以内に到達する惑星は力強い。例えば、以下のチャートの月は、アセンダントと8度差なので力強いと解釈する。ホールサイン方式(左)で見ると月は2ハウスに入っているが、四分円方式(右)においてはアセンダントと8度差であれば1ハウスに入る。

同じように、4・7・10ハウス(アングル)のカスプに1時間以内に到達する惑星は力強いと解釈する。注意しなくてはならないのは「1・4・7・10ハウス(アングル)にある惑星 = 力強い」ではないということ。例えば、以下の左のチャート(ホールサイン方式)において月は1ハウスに入っている。しかし、アセンダントから21度も離れた位置にある。同じ時間のチャートをレジオモンタナスで見てみると、月は12ハウスに入っていることが分かる。これでは月は力強いどころか、むしろほとんど力が無い状態である。したがって、力強さの判断とハウスは分けて考える必要がある。


