特定の人物や質問事項を象徴する惑星や場所のことであり「表示星」や「表示体」と呼ばれる。古代のアラビア占星術においては、表示体は質問の答えへと誰かの注意を導く存在という意味で、ラテン語の「リーダー(dux)」に相当する概念として扱われてきた。
語源的背景:アラビア語からラテン語へ
12世紀の占星術師ヘルマンは、アラビア語で「意味する」「指し示す」を意味する動詞「dalla(ダッラ)」が持つ、「誰かの注意を何かに導く」という具体的で動的なニュアンスを正確に反映させるために、ラテン語の「duco(導く)」から派生したこの言葉「dux」を採用した。日本語では一般的に「ドゥクス」あるいは「ドゥックス」のように発音される。彼の著作において、表示体は単なる記号ではなく、隠された真実へと占星術師を案内する「リーダー(dux)」として定義されており、その活動自体も「指導権(ducatus)」と表現されている。このように、duxという言葉は、チャート上の惑星が占星術師を物事の核心へと案内するという、占星術における解釈のプロセスそのものを象徴しているのである。
表示体の種類
表示体には、金星が楽しみを司るように惑星そのものの性質に基づく「ナチュラルな(一般的な)表示体」と、チャート内のハウス支配や位置によって決まる「アクシデンタルな表示体」の二種類が存在する。ホラリー占星術の実占では、1ハウスのロードと月がカレントを示し、質問の対象は関連するハウスのロードがその役割を担う。月は、質問対象の主要な表示体として既に使われていない限り、原則として質問者の共同表示星となる。

