
天頂という最も高い地点に位置するのが10ハウスである。このハウスはラテン語で「天の中央」を意味するミディアム・コエリ(Medium Coeli)通称MCやミッドヘブンと呼ばれ、南のアングルとしてチャートを支える極めて強力な枢軸である。歴史的な成り立ちを辿ると、星々が上昇を終えて下降に転じる接合点であり、マニリウスはその詩の中で「星々が馬首を休ませる場所」と詠い上げた。太陽が一日の中で最も高く昇り、万物を鮮明に照らし出すこの場所は、個人の生活の中で「最も目に見える部分」、すなわち社会的な顔や名声、名誉、そして天職を象徴するようになった。
ホラリー占星術において10ハウスが司る象意は、現実的かつ権威的である。あらゆる状況における「ボス(上司)」を筆頭に、国王、首相、大統領、政府といった国家的な権威、さらには裁判における裁判官や判事、軍の指揮官などがこのハウスに割り当てられる。また、名誉や成功、勝利そのものをも象徴するため、「オリンピックで金メダルを獲れるか」といった栄光に関する問いの帰結点ともなる。家族関係においては、伝統的に「母親」を象徴する場所とされており、4ハウスが血筋としての父親を表すのと対照的な役割を担っている。
実占における具体的な使い方として、最も頻繁に登場するのは「仕事やキャリア」に関する質問である。就職の可否を占う場合、質問者(1ハウス)のロードと仕事(10ハウス)のロードの間にアプライのアスペクトがあるか、あるいは10ハウスのロードが1ハウス内に位置している(=仕事が質問者の手中に収まっている)状態が肯定的な証拠となる。ただし注意が必要なのは、10ハウスは「職業そのもの」や「職務」を示す場所であり、そこから得られる「給料」や「利益」は、10ハウスから2番目にあたる11ハウスで判断するという点である。同様に、不動産売買の質問において、物件そのものは4ハウスだが、その「価格」は伝統的に10ハウスで見ることになる。10ハウスのロードの状態が良いことは市場価値が高いことを示し、逆にデトリメントやフォールの状態であれば価格が安いことを示す。
惑星との関係性においては、カルディアン・オーダーに基づき、火星が10ハウスを司るとされる。ジョン・フローリーによれば、我々が自身の「小さな帝国」を守り抜くためのエネルギーこそが職業であり、それが火星の性質と合致するのだという。一方で、このハウスにおいてジョイを得る惑星は伝統的には存在しないが、太陽や木星が位置することは、社会的な成功や名誉を得る上での大いなる吉兆とされる。逆に土星やサウスノードがここにあると、名誉の否定や悪評、あるいは職業的な破滅を招くリスクがあるとされるが、昼のチャートであれば土星が責任ある立場や栄誉を与えることもある。

技術的な側面で見ると、10ハウスはアングルであるため、ここに位置する惑星は非常に強力なアクシデンタル・ディグニティーを得る。医療占星術の観点では、人体の中で膝、ハムストリング、ふくらはぎ、すねを支配しており、疾患の治療そのものを表す場所としても機能する。

